昔話に、娘の1人は笠屋に、他の1人は染物屋に結婚させた人があった。その母親が雨天の日は染物が乾かないので困っているだろうと心配し、好天の日は傘が売れないだろうと心配していたので毎日が悩みの日であった。

 相談を受けた寺の和尚が忠告した。雨の日は傘が売れると喜び、好天の日は染物が乾くと思えば毎日が楽しく思われて悩みがなくなる、と教えたというバカバカしい話である。しかし、これは人間性を表した名言である。

 何故名言か、理屈から言えば、事態は何も変わってはいない。しかし人間は感情の動物と言われるように、気分の転換によって、くるくる変わることが可能である。事態は同じでも楽観的に、良い方を考えれば良いのだ。この考え方はプラス思考と言う。これと反対の、何でも悲観的に考える人がいる。この人はうつ病的で、人生を面白くなく生きることになる。

 何でもプラス思考でよいのか、というとそうではない。思いがけぬ災難に遭うことがある。甘い話には気をつけろだ。これを買えば儲かると奨められて儲け話に乗って大損をしたという話が毎日のように報道されている。このプラス思考者が魚のように釣られている。

 人を見れば泥棒と思え、といわれるが、少なくともお金を出す話には乗らないことだ。私はお金がないのでお断りします、と電話の誘いを撃退する。お金がない人には彼らは興味がないのだ。

 人生の将来については誰でも悩みのない人はいない。病気にならないか。失業したらどうしよう。子供が立派に育ってくれるだろうかなど、気にし出したら心配事が山ほどある。この気持ちを鎮める方法は昔から「天道様と米の飯はついて回る」という教えである。

 最低線の米の飯があれば生きていける。現代は社会が弱い者を助けてくれる。身障者を担いで富士山にも登らせてくれる。社会が皆を助けてばかりいては、物を生産する人がなくなって成り立たなくなるから、そうもいかないがあまり将来を気にしないで陽気に、現在という大切な時期を過ごそう。

 現代の日本は欲望を価値として認める世の中だ。健康でありたい、美しくありたい、裕福でありたいなど諸々の欲望がある。その欲望を擬餌鉤に仕掛けて金を取る人々がいる。私の見るところでは、この擬餌針産業すなわち虚業が社会の50%にも上るのではないか。近頃、大銀行、大証券屋が、その欺瞞性を暴かれている。

 こんなことを私がいくら叫んでも世の中は変わらない。騙された人は、当面の欲望を満足させたのだし、だいたい要らぬ金があったからか、無知であったために騙されたのだろう。大局的に見れば、社会は騙し合いの知恵戦争のようなものだ。せめて私の知人が賢く生きてくれることを望む。


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